南場 智子
ディー・エヌ・エー
取締役、ファウンダー
交流サイト(SNS)をベースにゲームを提供する交流ゲーム市場で国内首位に立つディー・エヌ・エー(DeNA)の創業者。大学卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社したが、1999年に退社して自ら起業する道を選んだ。元同僚らと設立したDeNAでは、まずネットオークションサービス「ビッダーズ」を立ち上げ、その後、携帯電話向けサービスへと移行する。当初は失敗の連続で、自ら金策に走ることもしばしばあった。持ち前の粘り強さで徐々に事業を軌道に乗せ、2005年には東証マザーズに上場を果たした。
会社を急成長させたのが06年の携帯ゲーム事業への参入だ。大人気となり、業績も急拡大。13年3月期は連結売上高が2000億円を突破した。この間、自身が陣頭指揮を執り、海外進出への布石も打った。
11年、夫の病気治療に専念するため、社長を守安功氏に譲り、非常勤の取締役となった。夫の病気が快方に向かったため、今年から常勤取締役として戻った。社長に復帰はせず、現在は採用や人材育成、他社との提携などの業務に力を注ぐ。
「常に自分でもネタを持っている」として、新規事業創出にも依然として意欲的。創業者ならではの存在感と明るい気質は衰えていない。規模が大きくなった今もベンチャー精神を失うことがないよう、精神的支柱として社員を叱咤(しった)激励する。51歳。
(2013年9月17日/日本経済新聞 朝刊より)
略歴
1962年4月21日生まれ。
1986年4月、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。1988年、マッキンゼーを退職し、ハーバード・ビジネス・スクールへ。1990年にはハーバード・ビジネス・スクールにてMBAを取得し、その後マッキンゼーに復職。1999年に株式会社ディー・エヌ・エーを設立。同年、マッキンゼーを退職し、DeNA代表取締役社長に就任。2011年6月、取締役就任(現任)。主な著書に「不格好経営」(日本経済新聞出版社)がある。