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ジェフリー・イメルト

ゼネラル・エレクトリック
会長兼CEO

「米国株式会社」の代表といえるゼネラル・エレクトリック(GE)の9代目会長兼最高経営責任者(CEO)に就任して13年目。歴代CEOの平均任期(14年)に近づき、円熟の域に達しつつある。前任のジャック・ウェルチ氏のような派手さはないが、就任直後に発生した米同時テロや2008年秋の金融危機など、数々の難局を乗り切った手腕への評価は高い。
「人生で最も厳しい時期だった」と振り返る金融危機の際には大学時代にプレーしたアメフト仕込みの「攻め」を封印、「守り」に徹した。最悪期を脱すると、業績低迷を招いた金融事業の縮小と製造業への回帰を掲げた。
成長のための変化を恐れない。「この10年でGEを劇的にシンプルにした」と語る通り、保険やメディアなど競争優位を維持できないと判断した事業を次々と売却。一方で、エネルギーなど成長が見込まれる分野に資金を振り向けてきた。
製造技術のイノベーションにも力を入れる。研究開発費は10年間で倍増。3D(3次元)プリンターを使った加工技術などにも積極的に投資する。雇用と競争力に関するオバマ大統領の諮問機関の議長を引き受けたのは、自社で進める製造工程の「インソーシング(内製化)」や国内回帰と無縁ではない。
再び攻めに転じた今、注目するのが、ベンチャーの企業文化や経営手法だ。「GEの大きな強みは今のスケールにある」としつつも、組織が過度に複雑化し、「重要でない多くのことに取り組みすぎていた」との反省があるからだ。
「優れた企業文化は規模を弱みではなく強みに変える唯一のフィルターだ」と語る。目指すのはシンプルで機敏な大企業。「経営の教科書」の進化は今も続く。57歳。

(2013年9月17日/日本経済新聞 朝刊より)

略歴

1956年2月19日生まれ。

ジェフリー・R・イメルトはGEの9代目会長であり、2001年9月7日から現職。

1982年のGE入社以降、GEのプラスチックス、家電および医療機器などの各事業部門においてグローバルに活躍するリーダーとしての役割を担う。1989年にGEのオフィサーに就任。1997年からGE金融部門の取締役会に参加。そして2000年にプレジデント兼次期会長に選出された。

イメルトは、米国のバロンズ誌(Barron's)から「世界で最も優れたCEO」(World's Best CEOs)の一人として3回選出。またイメルトがCEOに就任してから、GEは米国のフォーチュン誌(Fortune)の「米国で最も賞賛される企業」(America's Most Admired Company)として選ばれ、またバロンズ誌および英国のファイナンシャル・タイムズ紙(Financial Times)からは「世界で最も賞賛される企業」(The World's Most Respected Companies)の一社として選出されている。

その他、オバマ米国大統領の諮問機関である、「雇用と競争力に関する大統領諮問委員会」の議長を務めている。また、The American Academy of Arts & Sciencesのメンバーでもある。

ダートマス大学において応用数学の学士号(1978)、ハーバード大学にて経営学修士(MBA)を取得(1982)。家族は、夫人と一女。

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