カスパー・ローステッド
ヘンケル
CEO
ドイツでヘンケルの「ペルジール(パーシル)」といえば、家庭用洗剤の代名詞だ。化粧品、接着剤など豊富な商品群を持つ創業130年を超える日用品メーカーのトップとして、新興市場への展開とIT(情報技術)投資を積極的に進めてきた。
46歳の若さで最高経営責任者(CEO)に就任した2008年当時、「勝ち続ける文化」をスローガンに掲げた。英蘭ユニリーバや米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)との競争に勝ち抜こうという強い意志が表れていた。
アジア、中東・アフリカ、南米などの開拓に主眼を置き、自社ブランドを浸透させていった。地域別で、新興市場が売上高全体に占める割合は直近で45%。08年から8ポイント上昇し、30%台前半の西欧市場を上回るまでに成長した。
欧州景気の本格回復が遅れるなか、12年12月期の純利益は前の期比31%増の15億5600万ユーロ(約2050億円)に伸ばした。13年も増益基調は続き、売上高営業利益率は直近で14%台に高まった。
米オラクル、米ヒューレット・パッカード(HP)などを経て05年にヘンケルに入社。主に購買・ITを担当して頭角を現した。
13年からの4カ年計画で総額20億ユーロ(約2600億円)の設備投資を予定している。直前4カ年の実績を約4割上回り、中国・上海の同社最大級の工場などに資金を投じる。新興市場の売上高比率を5割に高める計画だ。
ヘンケルの株価は08年秋のリーマン・ショック後の安値から約4倍の上場来高値圏で推移している。経営の明確なビジョンを示し、実績を示してきた手腕に対する市場の評価は高い。デンマーク出身で英語、ドイツ語、スウェーデン語も堪能だ。51歳。
(2013年9月17日/日本経済新聞 朝刊より)
略歴
1962年2月24日、デンマーク・オーフス生まれ。
~1995年 | オラクルおよびディジタル・イクイップメント(DEC)にて、営業/マーケティング部門の各種管理職を歴任 |
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1995年 | コンパックにて、ヨーロッパ中東アフリカ地域のコンパック・エンタープライズ・ビジネスグループ責任者など、各種管理職を歴任 |
2001年 | コンパックのヨーロッパ中東アフリカ地域副社長 兼 ゼネラルマネジャー |
2002年 | ヒューレット・パッカード(HP)シニアバイスプレジデント 兼 ヨーロッパ中東アフリカ地域ゼネラルマネジャー |
2005年 | ヘンケル上級副社長(人事・購買・ITおよびインフラストラクチャー・サービス担当) |
2007年1月 | ヘンケル経営委員会 バイスチェアマン |
2008年4月 | ヘンケル最高経営責任者(CEO) |
学歴:
インターナショナル・ビジネススクール(デンマーク・コペンハーゲン)
ハーバード・ビジネス・スクール エグゼクティブプログラム
家族:
妻と子供4人