スコット・クック

インテュイット
経営委員会会長、ファウンダー

1983年に米シリコンバレーでインテュイットを創業し、財務会計ソフト大手に育て上げた。主力の小規模企業向け会計ソフト「クイックブックス」は400万社以上が利用し、この分野で圧倒的な強さを誇る。変化のスピードが速いシリコンバレーで30年にわたって競争を勝ち抜いてきた数少ない起業家であり経営者だ。
南カリフォルニア大学在学中に廃部寸前だったスキー部に入部した。1年で部を立て直し、学内最大の学生組織にした経験を持つ。エコノミストを志していたが、部を再建する過程を通じて事業を起こしたり、組織を運営したりする面白さに目覚めた。
米プロクター・アンド・ギャンブル（P＆G）や米ベイン・アンド・カンパニーでの勤務を経て、起業した。家計簿をつける煩雑さを嘆く妻の様子を目の当たりにし、家計簿ソフトの開発を思いつく。「クイッケン」が最初のヒット製品となり、会社の礎を築いた。米マイクロソフトがこの分野で追い上げてくると、事業の軸足を小規模企業を対象としたソフトに移して成長を持続。現在はクラウドコンピューティングやモバイル機器への対応を急ぐとともに、人事給与や決済ソフトなども強化している。
2002年には私費で米ウィスコンシン大学に「ブランド・プロダクトマネジメントセンター」を設立。P＆Gでブランドマネジャーを務めた経験からこの分野での人材育成の必要性を痛感し、後進の育成に力を注いでいる。61歳。

（2013年9月17日／日本経済新聞 朝刊より）

略歴

1952年7月26日生まれ。

1983年に設立されたインテュイットの創業者の一人。現在は経営委員会の会長を務める。インテュイット創業以前は米コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーで銀行業界などを担当。世界最大の日用品メーカー、プロクター・アンド・ギャンブル（P&G）にも4年間勤め、マーケティング部門でブランド・マネジャーを含む複数の職務を担った。

米電子商取引大手イーベイとP&Gの社外取締役を務めるほか、ハーバード・ビジネス・スクールの学長諮問委員会や米ウィスコンシン大学のCenter for Brand and Product Management、インテュイット奨学金基金で要職に就いている。

ハーバード・ビジネス・スクールでMBA（経営学修士）を取得。南カリフォルニア大学で経済学と数学の学士号。