三木谷 浩史
楽天
会長兼社長
仮想商店街などネット上の様々なビジネスを展開する。旅行サイトから銀行・証券・保険などへと事業を拡大、成長スピードを速めている。創業者で会長兼社長を務める三木谷浩史氏は、今や若手起業家として世界でも知られる存在だ。
「自力で人生を切り開く」と日本興業銀行(当時)を退職し、1997年、楽天の前身企業を31歳で設立した。同年5月にネット上に仮想商店街「楽天市場」を開設。本や家電などをネットで自社販売する企業はあったが、出店を募るモール型ビジネスは珍しく、事業は順調に拡大し、2000年に株式を公開した。
04年、サッカー・Jリーグの「ヴィッセル神戸」のオーナーに就任、プロ野球界にも新球団を50年ぶりに立ち上げて参入した。
知名度が高まり、楽天市場の出店企業や会員も一段と増加。出店企業の売り上げを合計した流通総額は設立14年後の11年に大手百貨店に並ぶ1兆円超に達した。現在、会員数は8500万人超、出店店舗は約4万2000店に上る。
事業意欲は電子商取引(EC)分野にとどまらない。企業買収も活用し、旅行サイトやクレジットカード、電子マネー、銀行・証券・保険などの金融分野へと次々に参入し「楽天経済圏」を拡大。最近ではカナダ企業を買収して電子書籍事業に参入、収益の柱を増やす考えだ。米国や欧州、アジアなど海外への展開にも力を入れる。
若手起業家の代表としても積極的に発言する。ネット企業などでつくる経済団体「新経済連盟」を設立し代表理事に就任。1月には政府の産業競争力会議の議員に就き、新経連で主張していた医薬品ネット販売などが実現した。「日本に起業文化を根付かせたい」。多忙な日々の合間を縫って提言活動を続ける。48歳。
(2013年9月17日/日本経済新聞 朝刊より)
略歴
1965年3月11日、神戸市生まれ。
1988年一橋大学卒業後、日本興業銀行に入行。1993年ハーバード大学にてMBA取得。興銀を退職後、1996年クリムゾングループを設立。1997年2月エム・ディー・エム(現・楽天)設立、代表取締役就任。同年5月インターネット・ショッピングモール「楽天市場」を開設。2000年には日本証券業協会へ株式を店頭登録(ジャスダック上場)。2004年にJリーグ・ヴィッセル神戸のオーナーに就任。同年、50年ぶりの新規球団(東北楽天ゴールデンイーグルス)誕生となるプロ野球界に参入。2011年より東京フィルハーモニー交響楽団理事長を務めるほか、2012年6月に発足した一般社団法人新経済連盟の代表理事を務める。同年、ハーバード・ビジネス・スクール「2012年度卒業生功績賞」を史上最年少で受賞。2013年1月に政府の産業競争力会議の民間議員に就任。