タニン・チャラワノン
チャロン・ポカパン(CP)グループ
会長兼CEO
CPグループは年間売上高が約4兆4000億円のタイの複合企業。
中国では「正大集団」として知られる。タニン会長は創業者の四男。
3人の息子をグループ内の要職に配し、後継の座を競わせている。
1939年生まれ。
タイの多国籍複合企業(コングロマリット)であるチャロン・ポカパン(CP)グループは、中国出身のチャラワノン一族が1921年にバンコクで種苗販売店を開いたのが発祥。現在の中核事業は食料・食品、小売りと通信。グループ全体の従業員数は30万人を超え、年間売上高は410億ドルにのぼる。なかでも食料・食品事業は飼料生産、畜産、加工、流通・販売を手掛け、南アジア、東アジア、東南アジア、欧州の16カ国に投資している。初の外資として進出した中国では、この30年の間に事業領域を食料・食品から小売り、金融、自動車、医薬品へと広げ、販売先は中国市場だけでなく国外に輸出もしている。今年7月には、中国、東南アジアや他の地域での事業展開をにらみ、伊藤忠商事と資本・業務提携した。
タニン会長は1969年にグループのトップに就いた。中国当局とのパイプが太い。どこに投資する時でもその国家、国民、そしてCPにとってメリットになることを考える「三方良しの原則(3-Benefit Principle)」を経営哲学に掲げ、良質で手ごろな価格の食料に対する食料需要が拡大するなか、CPが「世界の台所」として使命を果たすうえでの指針になると信じている。